「幸せは あなたの心が決める」 渡辺和子
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「幸せは あなたの心が決める」 渡辺和子 …よかったよ。
P5 抱っこの宿題を我が子にしてやれない親、肩から掛けた「抱っこぬの」の中で幼児に乳首をあてがいながら、一心にメールを打っている母親に育てられた幼児は、満腹はしても、心の満足は味わっていないのではないでしょうか。
P40-41これは一人の方の体験ですけれども、私たちも往々にして、泊めてくれないとわかっていながらなお、見送ってくれるのではなかろうか、見送ってくれないとわかりながらも、せめて明かりぐらいは持たせてくれてもよさそうなものを、と思いがちです。
しかしながら、そういう未練や甘えといったものが一つひとつ拒否され、自らも最後の依頼心を捨て去った時に、案外、道がひらけてくるものです。
P49 世の中のすべての人から見放されたように思う時も、決して自分で自分を見捨てることがない人でいてください。
P60 「人間というものは、失ったものに目を向けず、得たものに目を向けて生きないとダメ」
P64-65世の中、「かくかく、しかじかあるべきだ」という思いこみをたくさん持てば持つだけ、不自由になります。
たとえば、
「家族は私に優しくあるべきだ」
「あの人は私の立場を理解するはずだ」
「私は、当然感謝されるべきだ」
等々、思いこみが多いと、事実がそれにそぐわない時、苦しみも多くなるものです。
「優しくしてくれるに、こしたことはない」
「理解してくれたら、もうけもの」
「感謝されたら、ありがたい」
くらいに考えておくと、心が自由になるから不思議です。
それは結局、思いこみというのは、その実現において他人に依存する部分が多いからでしょう。
P69 学生たちには、感謝の言葉を忘れないように、他人に優しくと、しっかり教えたいと思います。しかし、だからといって、自分たちがいつも感謝され、優しくされると思ったら大間違いだということも教えたいと思っています。
P97-98健康だった相手が病気になってしまった時も、前途を嘱望されていた相手が挫折にあった時にも、その人を愛し続けることができるかどうかは、私たちが自分の中に、「愛する力」を養い育てているかどうかに、かかっているのです。
P99 マイナスの価値しかないと思えることや、不幸、災難、苦しみにさえも意味を見出して、これまた「有り難い」と感謝できる時、私たちは愛すべきものを随所に持ち、愛し難い人さえも、その人の存在そのものの価値を認める、愛深く幸せな人間になれるのです。
P109 「一つひとつ、音をさせないように、静かに置いてごらんなさい。さらに、そこに座る人が幸せになるようにと、心をこめて置いてごらんなさい」
P115 「面倒だ」と思った瞬間、「だから、しない」のでなく、「だから、する」こと。他人様が入っていらしたら、立つ。他人様とお話しする時はマフラー、手袋を外し、コートも脱ぐ。ポケットから手を出す。
P124 英国のエリザベス女王が、かつてインドを訪問した際、マザー・テレサの仕事を見学した後に呟いたと言います。
「百万ポンドやると言われても、私にはできない」
すると、マザーがすかさず答えたそうです。
「私にも、できません」
この二人は、「まったく同感」と言っているようで、実は、ずいぶん違った話をしているのではないでしょうか。
女王は、どれほど多額のお金を貰っても、私にはこのような仕事はできないと嘆息したのに対し、マザーは、お金のためだったら、私にもこのような仕事はできないのだと言っているのです。
P129 人間関係を和やかにするのに、「の」の字の哲学というのがあります。
たとえば、夫が会社から戻ってきて、「ああ今日は疲れた」と言った時に、知らん顔して、その言葉を聞き流したり、「私だって、一日結構忙しかったのよ」と自己主張したのでは、二人の間はうまくゆきません。
その時に「ああそう、疲れたの」と相手の気持ちをそのまま受け入れてあげることがたいせつなのです。